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中国「国潮」の波に日本ブランドはどう戦うか|2026年越境EC・ライブコマース攻略ガイド
中国「国潮」の波に日本ブランドはどう戦うか|2026年越境EC・ライブコマース攻略ガイド
POINT|この記事の結論
国潮(グオチャオ)は中国ブランドの台頭を加速させているが、「日本品質への信頼」「安全性へのこだわり」は依然として中国消費者、特にZ世代の根底にある。日本ブランドが生き残るカギは「外国ブランドとして戦わない」こと——中国の文化・ストーリーに接続しながら、ライブコマースでリアルタイムに信頼を積み上げる戦略が最も有効だ。
1. 国潮(グオチャオ)とは何か——数字で見る実態
国潮(国潮、ピンイン:guócháo)とは「国産ブーム」を意味する造語で、2018年頃から中国のZ世代を中心に急速に広まった消費トレンドだ。中国ブランドのデザイン・品質が向上し、「国産こそクール」という価値観が形成された。
主要統計(2025〜2026年データ)
| 指標 | 数値 | 出所 |
|---|---|---|
| 2025年「国潮」関連消費市場規模 | 約2兆元超(約40兆円) | 艾瑞諮詢(iResearch)2025年報告 |
| 国潮支持を表明するZ世代の割合 | 約78% | 百度「国潮骄傲」調査2024 |
| 電商プラットフォームにおける国産ブランドシェア増加 | +18.4pt(2018年比) | 天猫ブランド白書2025 |
| 化粧品カテゴリで国産を選ぶ消費者割合 | 約54% | 欧睿(Euromonitor)2025 |
※上記は公表データに基づく参考値。実際の審査・採択状況は機関・時期により異なります。
1-1. 国潮を牽引する3つの要因
① 政策的後押し:2021年以降「国内大循環」政策のもと、国産ブランドの育成が国家課題となった。官製メディアが国産ブランドのストーリーを積極的に紹介している。
② Z世代の民族的アイデンティティ:「唐装ファッション」「漢服ブーム」に象徴されるように、中国の伝統文化を現代にリミックスする感度が高い。国産ブランドはこの感性と親和性が高い。
③ 品質向上のリアル:花西子(Florasis)・Perfect Diary・Li-Ning・Ankerなど、実際に国際的な品質水準に達したブランドが登場し、「国産=安かろう悪かろう」のイメージが塗り替えられた。
2. 国潮が日本ブランドに与える影響——脅威の構造を正確に理解する
2-1. 直撃しているカテゴリ
| カテゴリ | 影響レベル | 主な理由 |
|---|---|---|
| 化粧品・スキンケア | ★★★★☆ 高 | 花西子など国産コスメの台頭が著しい |
| アパレル・ファッション | ★★★★☆ 高 | 漢服・唐装ブームで国産デザインへの関心急増 |
| 電子機器・家電 | ★★★☆☆ 中 | Xiaomi・Ankerの躍進だが日本家電の信頼は残存 |
| 食品・飲料 | ★★☆☆☆ 低〜中 | 安全性重視で日本産の優位は保持 |
| 育児・ベビー用品 | ★★☆☆☆ 低〜中 | 安全性で日本ブランドへの需要継続 |
2-2. 脅威を過大評価してはいけない理由
国潮ブームの一方で、中国消費者のリサーチ力は高度化しており「国産だから買う」という単純な動機だけではない。重要なのは以下の事実だ:
- 安全性・品質の裏付けを求める消費者が増加:食品・育児用品・スキンケアでは「成分透明性」「試験データ」を重視する流れが強まっている(小紅書での成分リサーチが一般化)
- 「日本製」というラベルは依然ブランド資産:中国消費者の訪日経験の増加(2024年訪日中国人旅行者が回復基調)により、「現地で体験した品質」への信頼感が強化されている
- 国潮ブランドへの失望事例も増加:品質トラブルや誇大広告による国産ブランドへの信頼毀損も起きており、堅実な品質を持つ日本ブランドへの「安定需要」が根強い
3. 日本ブランドが国潮時代に選ばれるための3つの戦略
戦略① 「外国ブランド」として戦わない——中国文化への接続
国潮の本質は「自国文化への誇り」だ。日本ブランドが「海外高級品」として差別化しようとするだけでは、ナショナリズムの逆風を正面から受ける。
実践アクション:
- 中国の節気(二十四節気)・伝統文化・祝祭に合わせた限定パッケージ・配信企画を組む
- ブランドの「日本のモノづくり哲学」(職人技、自然素材)を中国文化の「匠人精神(ジャンレンジンシェン)」と接続して語る
- KOL起用時は「日本文化ファン」のインフルエンサーを選定し、「日中文化の橋渡し」として位置づける
戦略② ライブコマースで「リアルタイム信頼構築」を行う
国潮ブランドの強みの一つは「ライブコマースを使った消費者との直接対話」にある。花西子がライブで成分を説明し、職人の製造現場を映し出すように、日本ブランドも「見せる品質」を武器にできる。
ライブコマース実装の具体策:
- 工場・製造現場を映す配信:日本の製造ラインや品質検査の様子をライブ中継することで「安全性」を視覚的に証明する
- 中国語バイリンガルライバーの活用:日本語話者の日本人スタッフ+中国語通訳のバイリンガル形式で「本物感」を演出
- 成分・素材解説を徹底する:小紅書・抖音の視聴者は成分リサーチに慣れているため、データを示す説明が信頼につながる
- 限定在庫演出で購買を促す:日本国内の在庫限定品として「本日XX点のみ」の演出が有効(景品表示法には注意:在庫数は実数を使用)
ライブコマース人材の育成・内製化についてはライブコマース研修と助成金の完全ガイド(法人向け)を参照。
戦略③ 「ニッチ×深い」で国潮ブランドとの直接競合を避ける
大手国産ブランドが占拠していないカテゴリ・ポジションに特化することも重要な選択肢だ。
有効なニッチポジション:
- 高齢者・40代以上(国潮ブランドはZ世代向けが中心で高齢消費者へのリーチが弱い)
- 地方・三四線都市(国産プレミアムブランドの浸透が遅れているエリア)
- 業務用・プロフェッショナル向け(B2Bは国潮の影響が相対的に小さい)
- ヴィーガン・オーガニック・アレルギー対応(中国国産では供給が限られるカテゴリ)
4. ライブコマースで国潮時代を乗り越えた日本ブランドの示唆
ケース:化粧品ブランドの小紅書×抖音 二段構え
ある日本コスメブランド(中堅規模)は、2024年に以下の戦略転換を行った:
- 小紅書でのUGC醸成:日本語の成分説明を中国語化し、「敏感肌ユーザーの実録レポ」として種まき。KOCを100名程度活用してリアルな口コミを積み上げた
- 抖音ライブで成分ライブ配信:日本の成分研究者(日本語)+中国語通訳の形式で週2回配信。「メーカー直談話」として権威性を演出
- 年間セールとの連動:618・双11に合わせて「日本工場から直送・限定生産」を訴求。国産ブランドとは違う「物語性」を打ち出した
結果として、国潮ブームが拡大する中でも対象セグメント内のシェアを維持。「国潮ブランドと同じ土俵に乗らない」ことが奏功した事例として参考になる。
日本ブランドが中国ライブコマースに参入する際の全体像は中国ライブコマース 日本企業向け完全ガイドも参照のこと。
5. 中国語ライバー・バイリンガル人材の確保と研修
国潮時代の中国向けライブコマースで最大のボトルネックになるのが「人材」だ。中国語で話せるライバー、または中国の消費者心理を理解した配信スタッフが必要になる。
5-1. 人材確保の選択肢
| 方法 | コスト感 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 中国語ネイティブのKOL起用 | 高(坑位費+歩合) | 即戦力・フォロワー流入 | 費用大、ブランドコントロール難 |
| バイリンガルスタッフ採用 | 中(人件費) | 内製化でコスト最適化 | 採用難・育成に時間 |
| 在日中国人フリーランサー起用 | 低〜中 | コスト柔軟 | 品質・継続性にばらつき |
| 自社スタッフ+研修で内製化 | 中長期で最安 | ブランド理解が深い・持続可能 | 立ち上げに3〜6ヶ月 |
自社スタッフを研修で育成する「内製化」が中長期では最も費用対効果が高い。ライブコマース研修に活用できる助成金(人材開発支援助成金など)についてはライブコマース研修と助成金の完全ガイド(法人向け)で詳しく解説している。
助成金ご利用にあたっての注意事項:人材開発支援助成金は審査制であり、採択・支給を保証するものではありません。「最大75%」「実質負担XX万円」などの表記は審査通過・計画認定を前提とした上限値です。詳細は最寄りのハローワーク・都道府県労働局にご確認ください。
5-2. 中国語コミュニケーションで注意すべき景表法・規制
中国向けライブでも、日本の景品表示法に基づく誇大広告規制が適用されることがある。また中国側では2024年施行の「互聯網直播営銷管理弁法」による規制が強化されている。
- 禁止表現(日中共通):「必ず効果が出る」「No.1」(根拠なし)、「国が認めた」「採択保証」
- 要注意表現:化粧品・サプリで「効果・効能」を標榜する場合は薬機法(日)・広告法(中)の双方確認が必要
- 在庫・価格演出:「残り○点」は実数のみ使用。人為的な水増しは不正競争防止法に抵触
6. 国潮時代の越境EC チャネル設計
ライブコマースと組み合わせるべき越境ECチャネルの選択も重要になる。
6-1. 2026年時点の主要チャネル評価
| チャネル | 国潮ブランドのシェア | 日本ブランドの入りやすさ | 推奨度 |
|---|---|---|---|
| 天猫国際(Tmall Global) | 高 | 審査厳格・費用大 | ★★★★☆ (確立後) |
| 抖音電商(TikTok Shop CN) | 急拡大 | ライブ連動で差別化しやすい | ★★★★★ |
| 小紅書ショップ | 中 | UGC連動で相性良い | ★★★★☆ |
| 京東(JD.com) | 中〜高 | 家電・高単価向き | ★★★☆☆ |
| WeChat視頻号 | 中 | プライベートドメイン連携向き | ★★★☆☆ |
2026年時点では抖音電商×ライブコマースの組み合わせが最も機動力が高く、国潮ブランドとの差別化がしやすい。詳しくは中国ライブコマース失敗事例に学ぶ——日本企業が陥りやすい罠も参照してほしい。
7. FAQ
Q. 国潮の影響で中国市場から撤退を検討すべきでしょうか? A. 撤退を検討する前に、カテゴリ・ターゲット層の精査が先です。化粧品の30代以上・食品・育児用品など、国潮の影響が相対的に小さいセグメントでは引き続き有力な事業機会があります。「全体市場」で見るのではなく「自社の強みが活きるニッチ」を再定義することを推奨します。
Q. KOLへの坑位費は必須ですか? A. 大型KOL(フォロワー100万超)には坑位費(出演料)+歩合が一般的です。しかし、初期はKOC(数千〜数万フォロワー)を複数名起用するUGC戦略の方がROIが出やすいケースが多いです。坑位費の構造については中国ライブコマースの坑位費・歩合の予算設計をご参照ください。
Q. ライブコマース研修に使える助成金はありますか? A. 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)が代表的です。訓練経費の最大75%(中小企業)の助成が受けられる可能性がありますが、審査制のため採択・支給を保証するものではありません。疎明書(受講料の価格根拠書類)の提出が2026年改正で義務化されており、また、eラーニング型のみの研修は賃金助成の対象外となっています。詳細はライブコマース研修と助成金の完全ガイド(法人向け)で確認を。
まとめ——国潮時代を日本ブランドの「再定義」のチャンスにする
国潮の台頭は、確かに日本ブランドへの逆風だ。しかし、それは「これまでと同じ戦い方が通じなくなった」という意味であり、「日本ブランドの終わり」ではない。
国潮時代に生き残る日本ブランドの共通点:
- 中国文化に接続するブランドストーリーを語れる
- **ライブコマースで「見せる品質」**を実証できる
- 自社スタッフが中国市場を深く理解し、内製で配信・対話できる
3つ目の「内製力」を高めるには、研修投資と助成金の活用が最短ルートだ。CNavi TikTok Shop Campusでは、中国市場を知り尽くした講師陣による法人向けライブコマース研修を提供しています。
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