china
中国ライブコマース規制・ステマ禁止の最新動向と日本企業が注意すべきポイント【2026年版】
中国ライブコマース規制・ステマ禁止の最新動向と日本企業が注意すべきポイント【2026年版】
POINT|この記事の結論
- 中国では2021年以降、ライブコマース専門の管理規則が相次いで施行され、KOL・MCNへの規制が格段に厳しくなっている
- ステルスマーケティングは明確に違法。広告表示の義務化("广告"ラベル)に違反すると広告主・プラットフォーム双方が処罰対象となる
- MCN登録義務・KOLの資格審査・コンテンツ審査強化により、無登録業者との契約は日本企業にも連帯リスクが及ぶ
- 未成年者向け販売制限・食品医薬品カテゴリの表示規制など、カテゴリ固有の規制も増加中
- 日本企業がKOL起用や自社ライブ配信をする際は契約書への遵法条項の明記と法令準拠の事前チェック体制が不可欠
目次
- なぜ今、中国ライブコマースの規制を把握すべきか
- 主要規制の全体マップ(2021〜2026年)
- ステルスマーケティング禁止:広告表示義務のしくみ
- MCN・KOL登録・管理義務
- カテゴリ別の規制ポイント(食品・化粧品・医薬品)
- 未成年者保護・ギャンブル的演出の禁止
- プラットフォームの連帯責任
- 日本企業が契約時に確認すべきチェックリスト
- 規制違反が日本企業に波及した事例パターン
- まとめ:規制をリスクではなく「信頼の差別化」に変える
- FAQ
1. なぜ今、中国ライブコマースの規制を把握すべきか
中国ライブコマース市場は2025年に取引総額が推計5兆元超(約100兆円)を超え、EC全体の3割以上を占めるまでに成長した。それに伴い、当局の監視体制も急速に整備されている。
かつては「グレーゾーン」として黙認されていたステマ的なKOL配信や誇大表現が、2021年以降は行政処分・プラットフォーム停止・刑事訴追の対象となる事例が急増している。日本企業がKOLや代理店を通じてライブコマースを行う場合も、「知らなかった」では済まない連帯責任が生じ得る。
出典:商務部・国家広播電視総局・国家市場監督管理総局の各公告(2021〜2025年)、艾媒咨询リサーチレポート2025年版
2. 主要規制の全体マップ(2021〜2026年)
| 施行年 | 規制名称(中国語) | 主要内容 |
|---|---|---|
| 2021年5月 | 网络直播营销管理办法(試行) | ライブ配信販売の基本ルール制定。KOL・MCN・プラットフォームの三者責任を明確化 |
| 2021年9月 | 互联网信息服务算法推荐管理规定 | アルゴリズムによる誘導的表示の開示義務 |
| 2022年9月 | 互联网直播服务管理规定(改正) | リアルタイム審査強化・不適切コンテンツ即時停止義務 |
| 2023年6月 | 反不正当竞争法(改正) | ステマ・虚偽評価に対する罰則引き上げ(最大200万元) |
| 2024年3月 | 广告法実施細則(改正) | ライブコマース中の広告表示("广告"ラベル)の常時表示を義務化 |
| 2025年1月 | 人工智能生成内容管理规定 | AIアバター・AIボイスを使ったライブ配信の開示義務 |
| 2026年(予定) | プラットフォーム責任法案(審議中) | GMV水増しに対する虚偽広告適用の拡大 |
規制の方向性は一貫して「広告主・KOL・MCN・プラットフォームの多層連帯責任」の強化にある。
3. ステルスマーケティング禁止:広告表示義務のしくみ
3-1. 「広告」ラベルの常時表示
2024年3月の广告法改正により、ライブ配信中に商品・サービスを販売する際は画面上の目立つ位置に常時「广告」のラベルを表示することが義務化された。
- 対象:有償でのKOL起用(坑位費・歩合を問わず)、企業の自社配信であっても販売促進が目的のものすべて
- 例外:純粋な企業ブランディング(販売なし)は限定的に例外
日本企業がKOLを起用する場合、このラベル表示がなされていない場合は広告主(日本企業側)も処罰対象となる可能性がある。
3-2. 「体験談」「中立レビュー」を装った配信の禁止
KOLが「自分が実際に使ってみた」という体裁をとりながら有償で商品を紹介する手法は反不正当竞争法(不正競争防止法)違反に該当する。2023年改正で罰則が大幅に引き上げられた。
- 初回違反:20万〜100万元
- 悪質または繰り返し:100万〜200万元+業務停止
日本企業が注意すべきこと:MCNや代理店が勧める「ナチュラル訴求」「PR感をなくしたい」という配信スタイルは、中国の規制と真正面から衝突する。契約書に「広告表示の遵守」を明記し、配信前に確認する体制が必要。
4. MCN・KOL登録・管理義務
4-1. MCNの登録義務
2021年の网络直播营销管理办法により、MCN(マルチチャンネルネットワーク)はプラットフォームへの登録・情報開示が義務化された。未登録MCNはプラットフォームが排除義務を負うため、未登録業者との契約は配信停止リスクにつながる。
日本企業がMCNを通じてKOLを起用する際は、そのMCNが抖音・淘宝等のプラットフォームに正式登録されているかを事前に確認すること。
4-2. KOLへの資格審査
- 粉丝数(フォロワー数)が一定数(プラットフォームによる)を超えるKOLは実名登録・資格証明が必要
- 食品・化粧品・医薬品・金融を扱うKOLは当該カテゴリの資格(登録証)の保有が義務
- 未成年KOLの深夜配信は原則禁止
4-3. アーカイブ・記録保存義務
プラットフォーム・MCN・KOLはすべての配信内容を60日間以上保存し、当局の求めに応じて提出する義務がある。日本企業もKOL起用時の配信アーカイブを自社でも保存しておくことを推奨する。
5. カテゴリ別の規制ポイント
5-1. 食品・健康食品
- 「病気の治癒」「医療的効果」を暗示する表現は食品安全法・広告法違反
- 健康食品(保健食品)は当局の審査登録番号(保健食品注册証号)の表示が必須
- 日本企業注意:日本で「機能性表示食品」として合法的に使える表現でも、中国では違法になるケースが多い
5-2. 化粧品
- 「医療効果」「再生」「幹細胞」など医薬品的効能の表現は禁止
- 2022年の化妆品监督管理条例(改正)により、成分開示・副作用情報の提示が義務化
- 日本コスメ企業の注意点:「浸透」「修復」などの日本語で一般的な表現も、中国語訳では規制に抵触することがある。現地法務の確認が必須
5-3. 医薬品・医療機器
- 原則としてライブコマースでの処方薬の販売は禁止
- OTC医薬品の配信販売には薬品経営許可証(互联网药品信息服务资格证书)が必要
- 医療機器は等級に応じた許可取得が必要
5-4. 酒類
- 未成年者向け販売・配信の禁止(確認義務あり)
- アルコール含有量の明示義務
6. 未成年者保護・ギャンブル的演出の禁止
2021年以降、特に強化されているのが未成年者保護とギャンブル的購買誘導の禁止だ。
6-1. 未成年者への販売制限
- 未成年者をターゲットにした配信・商品訴求は原則禁止
- 深夜帯(22時以降)の未成年者の視聴制限(プラットフォーム側の実装義務)
- 保護者の同意なしに未成年者の個人情報を取得・利用することは違法
6-2. ギャンブル的演出の禁止
「秒限り」「今すぐ買わないと終わり」「ランダム品物(盲盒的)」の演出について、過度な心理的プレッシャーを与える演出は規制対象となっている。
中国式ライブの限定演出・心理テクニックを日本市場向けに応用する際も、日本の景品表示法との兼ね合いを考慮する必要がある。
7. プラットフォームの連帯責任
抖音(TikTok)・淘宝直播・快手などの主要プラットフォームは、KOL・MCNの違反に対してプラットフォーム自身も連帯責任を問われるようになった。そのため各プラットフォームは独自の審査体制を強化しており:
- AI自動審査:禁止ワードのリアルタイム検出・配信一時停止
- ヒューマンレビュー:フラグ案件の人力確認
- 違反スコア制:累計違反ポイントでアカウント停止・永久BAN
日本企業が配信したコンテンツがプラットフォームのAI審査でブロックされるケースも増えており、事前に配信台本のコンプライアンスチェックを行うことが不可欠になっている。
中国ライブコマースの台本構成を設計する際は、禁止表現のリストを必ず反映させること。
8. 日本企業が契約時に確認すべきチェックリスト
KOLやMCNと契約を締結する前に、以下の項目を確認・明記する。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| MCN登録状況 | プラットフォームへの正式登録証の写し取得 |
| KOL資格証明 | 該当カテゴリの資格・許可番号の確認 |
| 広告表示義務 | 契約書に「"广告"ラベル常時表示」の遵守条項を明記 |
| 禁止表現リスト | カテゴリ別の禁止ワードを事前に共有・承認プロセスの設定 |
| 配信アーカイブ | 60日以上の保存義務を契約に組み込む |
| 違反時の責任分担 | 行政処分が生じた場合の費用負担・損害賠償の明確化 |
| GMV定義の明確化 | 「返品後純売上」ベースの成果指標を使用(中国ライブコマースGMV水増し問題も参照) |
9. 規制違反が日本企業に波及した事例パターン
パターンA:ステマ表示違反でKOLの商品ページが削除
日本コスメブランドが中国MCNを通じてKOLに「自分で使ってみた」形式の配信を依頼。広告ラベルなしの配信が抖音のAI審査に引っかかり、配信停止+商品ページ削除。坑位費は返金なし、代替配信のめどが立たないまま四半期の販売計画が崩壊したケース。
教訓:広告ラベルの確認は「契約前」ではなく「配信前の最終確認」でも必ずチェックを。
パターンB:KOLの無資格が発覚してアカウントBAN
食品系日本ブランドが起用したKOLが健康食品販売に必要な資格を取得していなかった。当局の抜き打ち検査で発覚し、KOLのアカウントが永久BAN。日本ブランドの商品も同アカウントでの再販売が不可能となり、MCNとの契約トラブルに発展。
パターンC:「機能性」訴求で薬機法的違反
日本では合法の「浸透力」「修復効果」という表現を中国語訳のまま使用。中国広告法の「医薬品的効果の誇示」に該当するとして、プラットフォームからコンテンツ削除警告を受けた。
10. まとめ:規制をリスクではなく「信頼の差別化」に変える
中国ライブコマースの規制強化は、短期的にはコンプライアンスコストを押し上げる。しかし裏を返せば、規制を正しく理解して遵守できる企業だけが長期的に中国市場で戦えるということでもある。
規制遵守の体制を先行して整えた日本企業は、MCNやプラットフォームからも「信頼できるパートナー」として優先的に取り上げてもらいやすくなる。「法律を守るコスト」ではなく「市場参入の参入障壁を超えるための投資」と捉えて、社内教育・体制整備に取り組もう。
ライブコマースの内製化で法的リスクを最小化するには、中国市場に精通した専門家による研修が近道だ。以下のCTAから、まず無料の個別相談でご自社の状況をお聞かせください。
ライブコマース研修の助成金活用(ピラーC)を組み合わせることで、研修コストを大幅に圧縮しながら中国市場対応力を高めることができる。
また、中国ライブコマースの規制リスクを避けるためのKOL選定の実践とKOL起用時のGMV水増し問題への対策も合わせて参照してほしい。
FAQ
Q1. 日本企業が中国KOLに依頼した配信で規制違反が起きたとき、責任は誰が負いますか?
A. 中国の广告法・网络直播营销管理办法上、広告主(日本企業)も連帯責任の対象となります。「代理店任せにしていた」という事情は免責事由にならないため、契約書への遵法条項の明記と事前確認体制の構築が必要です。
Q2. AIアバターを使った自社ライブ配信も規制対象ですか?
A. はい。2025年1月施行の人工智能生成内容管理規定により、AIが生成した映像・音声でライブ配信を行う場合は**「このコンテンツはAI生成です」という明示(ウォーターマーク等)が義務**です。開示なしでの運用は規制違反となります。
Q3. 越境EC(保税倉庫経由)のライブ配信も同じ規制が適用されますか?
A. 越境EC(跨境电商)は一般的な内販ECとは別の制度が適用される部分がありますが、ライブコマースの広告表示義務やステマ禁止は越境EC向け配信にも適用されます。保税倉庫の活用有無にかかわらず、配信コンプライアンスは共通です。
Q4. 坑位費(ギャランティー型)か歩合型かで規制の適用が変わりますか?
A. 変わりません。有償で商品を紹介する配信はすべて広告として扱われ、広告ラベルの表示が必要です。無償の場合でも、商品の提供があれば実質的な有償とみなされるリスクがあります。
Q5. 化粧品のライブ販売で「毛穴が引き締まる」という表現は使えますか?
A. 中国では「毛孔收缩(毛穴収縮)」という表現は医薬品的効果とみなされる可能性があり、化粧品広告では使用不可のケースが多いです。現地の法務・マーケティング専門家による表現審査を経てから使用を判断してください。
無料個別相談で、御社のリスクを事前に診断
中国ライブコマースの規制対応は、「何が禁止か」を理解するだけでは不十分です。御社の商材・起用予定のKOL・配信プラットフォームに応じた具体的なコンプライアンスプランの設計が必要です。
CNavi(シーナビ)では、中国市場に精通した専門家が御社の状況をヒアリングし、規制リスクの洗い出しから研修・内製化支援までをワンストップでサポートします。
まずは無料の個別相談から、お気軽にどうぞ。
※ 審査制のため、予約後に担当者からご確認の連絡をさしあげます。支給保証・採択保証はいたしかねますが、お客様の状況に合わせた最適なご提案をします。
無料個別相談
助成金の支給可能性、 まずは無料でご相談ください。
御社の業種・人数・商品から、助成金の支給可能性と最適プランをご提案します。導入を決める前のご相談だけでも歓迎です。
無料で個別相談を予約する個別相談は約30分、オンライン(Google Meet)で実施します。 導入決定や契約は不要です。
関連記事