助成金活用
BtoB・卸売業のライブコマース研修に助成金は使えるか|事業展開等リスキリング支援コース 2026年版
BtoB・卸売業のライブコマース研修に助成金は使えるか|事業展開等リスキリング支援コース 2026年版
POINT|この記事の結論
- 卸売業・BtoB企業のライブコマース研修も「事業展開等リスキリング支援コース」の対象になり得る。業種に対する制限はなく、展示会代替・取引先向けEC・DtoC転換を目的とした訓練計画として立案できる
- 採択されれば受講料の最大75%が助成される可能性がある。ただし審査制・後払いであり、採択保証はない。実際の支給額は審査結果によって変わる
- 2026年改正により「疎明書(受講料の価格根拠資料)」の提出が義務化。eラーニング型のみの研修は賃金助成の対象外となった
- BtoB・卸売業がライブコマースを活用する文脈は「展示会コスト削減」「バイヤー向けオンライン商談」「自社DtoC参入」「中国向け越境ライブ」など複数ある。それぞれの目的に応じた訓練計画の設計がポイント
- 申請に際しては社会保険労務士と連携したサポート体制のある研修事業者を選ぶことで、書類準備の負担を大幅に軽減できる
BtoB・卸売業がライブコマースを導入する4つの理由
理由1:展示会コストの高騰と限界
製造業・食品卸・雑貨卸・化粧品卸など、多くのBtoB企業は毎年国内外の展示会(東京インターナショナルギフトショー、JAFCA、食品フードショーなど)に出展してきました。しかし出展費用は1回あたり数十万〜数百万円に達し、会期中に面会できるバイヤーの数にも物理的な上限があります。
ライブコマースをバイヤー向けに活用すれば、新商品発表・季節提案・サンプル紹介をオンラインでリアルタイムに届けることができます。地方・海外の取引先にも同時配信でき、アーカイブを後日視聴してもらうことも可能です。展示会の「場所」「時間」という制約を外すことで、商談機会を質・量ともに拡大できます。
理由2:DtoC参入・EC強化による利益率改善
卸売業が抱える構造的な課題が「マージンの薄さ」です。メーカー→卸→小売という流通構造の中間に位置するため、エンドユーザーへの直販(DtoC)を実現できれば利益率は根本的に改善します。
そのための打ち手として、TikTok Shop・Amazon・楽天などのECプラットフォームでのライブコマース配信が有効です。自社ブランドの商品をライブで実演し、直接消費者に販売する。このスキルを社内に持てるかどうかが、次の10年の収益構造を変えます。
理由3:中国向け越境ECへの参入
日本の卸売業・メーカーにとって、中国向け越境ECは大きな市場機会です。淘宝直播(タオバオライブ)・抖音電商(TikTok中国版)での配信を通じて、中国のバイヤーや消費者に直接アプローチする企業が増えています。
この場合、ライブコマース配信のスキルに加え、中国EC特有の商習慣(坑位費・歩合体系・KOL連携など)やプラットフォームの操作知識が必要になります。こうした専門スキルの習得を「新たな市場への事業展開のためのリスキリング」として訓練計画に落とし込めれば、助成金の対象として認められやすくなります。
理由4:営業人員のスキル転換(リスキリングの必然性)
コロナ以降、対面営業・ルート営業の機会が縮小した企業は少なくありません。一方でECチャネル・SNSチャネルが拡大し、「デジタルで商品を売る力」がB2B営業にも求められるようになっています。
既存の営業担当・MD担当をライブコマース人材にリスキリングすることは、経営として合理的な投資です。そしてこの「既存人材の業務転換に必要なスキル習得」こそが、事業展開等リスキリング支援コースが想定するユースケースと合致します。
事業展開等リスキリング支援コースとは
制度の概要
「事業展開等リスキリング支援コース」は、事業の転換・拡大のために従業員に新たなスキルを習得させる企業を対象にした国の助成制度です。厚生労働省が所管し、申請窓口は本社所在地を管轄する都道府県労働局になります。
| 区分 | 内容 | 上限助成率 |
|---|---|---|
| 経費助成 | 受講料・教材費等 | 中小企業75%、大企業45%(審査結果による) |
| 賃金助成 | 研修中の人件費相当 | 1人1時間あたり960円(中小企業) |
重要:審査制のため支給は保証されません。「最大75%」は制度上の上限率であり、採択保証や国の推薦を意味するものではありません。実際の支給額は申請内容の審査によって決定されます。
BtoB企業が訓練計画で示すべき「事業展開の必然性」
審査で問われるのは「なぜ今、この訓練が事業上必要なのか」という説明の説得力です。BtoB・卸売業の場合、以下のような説明が有効です。
- EC展開・DtoC参入の方針決定:「当社は従来の卸中心の販路からDtoC/EC比率を高める経営方針に転換する。そのために営業・MD担当にライブコマーススキルを習得させる」
- 展示会に代わるデジタル商談の導入:「展示会依存のバイヤー開拓から、ライブ配信による常時商品紹介体制に移行する」
- 中国越境ECへの新規参入:「国内卸に加え中国市場への直販チャネルを開発する。そのために中国EC・ライブコマースの専門知識を社員に習得させる」
いずれも「現在の事業形態を超えた新たなチャネル・手法への参入」という文脈で記述することが申請の核心です。
2026年改正で変わった2つのポイント
①疎明書(受講料の価格根拠資料)の提出義務化
2026年度から、申請時に「受講料の価格根拠を示す疎明書」の提出が必須となりました。受講料の水増し申請を防ぐための制度変更です。
疎明書に必要な情報の例:
- 他社の類似研修サービスとの市場価格比較
- 講師の専門性・経験に基づくコスト積算
- 会場・機材・教材費の項目別内訳
この対応ができていない研修事業者に依頼すると、申請書類の段階でつまずく可能性があります。疎明書対応実績のある研修事業者かどうかを選定基準に含めることが2026年以降は特に重要です。
②eラーニング型のみは賃金助成の対象外
2026年改正以降、eラーニング(動画・オンライン教材のみ)の研修は賃金助成の対象外となりました。経費助成(受講料等)については引き続き申請可能ですが、賃金助成も合わせて活用したい場合は、対面・OJT・ハイブリッド型の研修が必要です。
BtoB向けライブコマース研修は、実際にカメラ前で商品説明を行う実技演習が中心になるため、この要件を満たしやすいケースが多いです。ただし「録画講義を視聴するだけ」という構成の研修は対象外になるため注意が必要です。
BtoB・卸売業特有のライブコマース研修で習得すべきスキル
1. バイヤー向けライブ商談の設計
消費者向け(BtoC)ライブコマースと、バイヤー向け(BtoB)ライブ商談では、配信の設計が根本的に異なります。
BtoB配信では:
- 視聴者が「購買担当者」であるため、感情ではなく**仕入れ合理性(利益率・回転率・在庫リスク)**に訴える
- 「何が売れているか」のデータ提示や、過去の取引実績の共有が刺さる
- リアルタイムの質疑応答(仕入れ条件・最低ロット・配送リードタイム)に応答できる準備が必要
これらを実際の配信の中で自然に行えるよう訓練するカリキュラムが、BtoB企業には必要です。
2. 商品デモンストレーションの技術(商材特性への対応)
卸売業が扱う商材は多様です。食品・雑貨・工業部品・化粧品原料・アパレル素材など、それぞれにカメラで伝えるべき情報が異なります。
- 食品卸なら:調理例・原料産地・食感の説明
- 工業部品・資材なら:スペック・規格の可視化・耐久性の実演
- 化粧品・美容原料なら:テクスチャー・色・使用感の言語化
商材の特性を理解した上で「ライブで何を見せるか」を設計する力が、研修で習得すべき実践スキルの中心になります。
3. 中国EC・越境ライブコマース対応スキル
中国向け越境展開を検討する卸売業・メーカーにとって、中国ライブコマースの特性理解は不可欠です。
- 淘宝直播・抖音電商・Tmall Globalのプラットフォーム特性
- 越境EC向けの通関・保税倉庫の仕組み
- KOL・MCN(マルチチャンネルネットワーク)との連携
- 中国版ライブコマースの台本構成と視聴者エンゲージメント技術
これらの知識を「自社の中国向け販路拡大に応用できるレベル」で習得することが、越境ライブコマース展開の前提条件となります。
申請フロー:BtoB企業が押さえるべき4ステップ
ステップ1:訓練計画の策定と事前準備
研修開始前に訓練計画書を提出する必要があります。BtoB・卸売業の場合は特に「EC参入・DtoC転換・越境EC開発など、新たな事業展開の方針を示す自社の経営計画や会議資料」を添付できると説得力が増します。
計画書に記載する主な内容:
- 訓練の目的(事業展開の文脈と人材育成の必然性)
- 対象従業員の役職・現在の業務内容と、研修後に担当する業務の違い
- 研修プログラムの時間数・カリキュラム概要
- 受講料・教材費の見積もりと疎明書
ステップ2:都道府県労働局への提出・審査
本社所在地を管轄する都道府県労働局に提出します。審査期間は通常2〜4週間程度ですが、修正依頼が入ることもあります。研修開始の2〜3ヶ月前には準備を始めるのが現実的なスケジュールです。
ステップ3:研修の実施と証憑管理
承認された訓練計画に沿って研修を実施します。出席記録・タイムカード・受講証明書・研修内容の記録(写真・レジュメ等)を整備し、支給申請時に提出できる状態で保管します。
ステップ4:支給申請と精算
研修終了後、定められた期間内に支給申請書類を提出します。書類の不備・漏れが審査の長期化につながるため、社会保険労務士のサポートを事前に確保しておくことを強く推奨します。
よくある質問(FAQ)
Q. 卸売業・メーカーでも事業展開等リスキリング支援コースに申請できますか?
はい、申請は業種不問です。卸売業・製造業・商社なども申請できます。重要なのは「新たな事業展開(EC参入・DtoC転換など)のための必要なスキル習得」であることを計画書で説明できるかどうかです。
Q. 営業担当者がライブコマースを学ぶ研修は助成対象になりますか?
なり得ます。ただし「従来の営業業務の延長上にあるスキルアップ」ではなく、「新たな販売チャネル・手法への転換のための、現在の業務とは異なる新規スキルの習得」として訓練計画を立てることが重要です。既存業務の繰り返しではなく、業務転換を伴う訓練として位置づけてください。
Q. eラーニング型のオンライン研修では賃金助成が出ないと聞きました。実地演習が必要ですか?
2026年改正以降、eラーニング型のみでは賃金助成の対象外です。経費助成(受講料相当)については引き続き申請可能ですが、賃金助成も活用する場合は対面・OJT・ハイブリッド型(eラーニング+実地演習の組み合わせ)が必要です。ライブコマース研修は実技が中心になるため、この要件を満たしやすいケースが多いですが、研修事業者に構成を確認してください。
Q. 受講料の助成はいつ支給されますか?先払いが必要ですか?
助成金は後払いが原則です。受講料はまず企業側が全額支払い、研修完了後に支給申請を経て後日精算する流れになります。申請から支給までのキャッシュフローへの影響を事前に確認し、必要に応じてつなぎ融資の検討も選択肢に入れてください。
Q. 中国向け越境ライブコマースのスキル習得も対象に含められますか?
含められます。「中国向け越境ECへの新規参入のため、中国ライブコマースプラットフォームの知識・操作・配信スキルを習得する」という訓練目的を明示すれば、訓練内容として適切です。ただし訓練計画の精度と疎明書の品質が審査に直結するため、専門事業者のサポートを受けることを推奨します。
CNavi(シーナビ)のBtoB・卸売業向けライブコマース研修
CNavi TikTok Shop Campusは、行知学園グループの中国ネットワークを基盤にした、中国ライブコマースの最新手法を日本企業に移植する法人向け研修を提供しています。
BtoB・卸売業向けには以下を重点的に組み込んでいます。
- バイヤー向けライブ商談の設計と実技演習(商材特性・仕入れ合理性の訴求)
- 中国越境EC・淘宝直播・抖音電商の実践的ノウハウ移植(行知学園の中国ネットワークに基づく)
- DtoC参入・TikTok Shop向け商品ページ・配信台本の設計
- 疎明書対応済みの受講料見積書と、社会保険労務士と連携した助成金申請サポート
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免責事項 本記事で紹介している助成金制度は審査制であり、支給は保証されません。「最大75%」は制度上の上限率であり、採択保証・国の推薦を意味するものではありません。実際の支給額は個別の審査結果によります。申請にあたっては、必ず最新の厚生労働省・都道府県労働局の公式情報を確認し、社会保険労務士等の専門家にご相談ください。本記事の情報は2026年7月時点のものであり、制度内容は変更される場合があります。
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