助成金活用
ライブコマース「代行 vs 内製化」3年間コスト徹底比較|助成金活用で内製化コストはどう変わるか
ライブコマース「代行 vs 内製化」3年間コスト徹底比較|助成金活用で内製化コストはどう変わるか
POINT|この記事の結論
- 運用代行は「すぐ始められる」が、月15〜50万円のコストが永続する。3年間では540万〜1,800万円規模になるケースも多い
- 内製化は初年度に研修投資が集中するが、2年目以降のランニングコストは代行の5〜20%程度に抑えられる
- 事業展開等リスキリング支援コースを活用すれば、研修費の最大75%が助成対象になり得る(審査制・採択保証なし)
- 2026年改正により「疎明書(受講料の価格根拠資料)」の提出が必須。eラーニング型のみの研修は賃金助成の対象外となった
- 月商規模・配信頻度・社内リソースによって最適解は変わる。本記事の試算表で自社の損益分岐点を確認してほしい
「代行か内製化か」という判断のリアル
ライブコマースに取り組む企業の多くが、最初に突き当たるのがこの二択です。
運用代行:即戦力のライバーと制作チームに全部任せる。すぐ結果が出る半面、コストが積み上がる。
内製化:社員を育成して自社で配信体制を構築する。立ち上がりに時間がかかるが、長期的に競争力が高まる。
「どちらが得か」は企業規模・商材・配信頻度・社内人材によって変わります。ただし、多くの企業が見落としているのが**3年間の総コスト(TCO)**という視点です。
単月の費用だけを比べると代行がシンプルに見えます。しかし時間軸を延ばすと、内製化の優位性が鮮明になる場合がほとんどです。さらに助成金を組み合わせると、その差はさらに広がります。
運用代行の実態コスト
代行費用の相場
ライブコマース運用代行の費用体系は会社によって異なりますが、一般的には以下の構成です。
| 費用項目 | 目安 |
|---|---|
| 月額管理料(ディレクション・レポート) | 5〜15万円 |
| ライバー出演費(1配信あたり) | 3〜10万円 |
| 映像制作・背景セット準備 | 2〜8万円 |
| 配信機材レンタル | 1〜3万円 |
| 事前商品リサーチ・台本作成 | 2〜5万円 |
月4回(週1ペース)配信した場合の月額合計は、最低でも15〜20万円、平均的な水準で30〜40万円になります。本格的な規模では月100万円を超えることも珍しくありません。
3年間の累計コスト試算(月30万円水準)
| 期間 | 月額 | 累計コスト |
|---|---|---|
| 1年目 | 30万円 | 360万円 |
| 2年目 | 30万円 | 720万円(累計) |
| 3年目 | 30万円 | 1,080万円(累計) |
代行会社に依存し続ける限り、このコストは打ち切らない限り続きます。
代行のもう一つの見えないコスト
金銭的コスト以外にも、代行依存には「機会コスト」があります。
- ノウハウが外部に留まる:3年間代行に任せても、担当者が変わった途端にゼロに戻るリスク
- ブランドの個性が出にくい:代行会社の「型」に収まりがちで、他社との差別化が難しい
- データが自社に蓄積されない:視聴者行動・購買パターンのデータを代行会社が保持し、自社の意思決定に活かせない
これらは財務諸表に現れませんが、長期的な企業価値に影響します。
内製化のコスト構造
内製化に必要な投資
内製化は「一度育成すれば後は社員コストのみ」という構造です。初期投資の中心は研修費用です。
| 費用項目 | 目安 | 備考 |
|---|---|---|
| ライブコマース研修費 | 50〜150万円 | 受講者数・内容による |
| 機材購入(照明・マイク・カメラ等) | 20〜50万円 | 一度限り |
| 配信ツール・スタジオ整備 | 10〜30万円 | 一度限り |
| 社員の育成期間(立ち上がり3〜6ヶ月)人件費按分 | 30〜60万円 | 通常業務との兼務前提 |
初年度の合計投資額は、110〜290万円程度が現実的なレンジです。
ただし、助成金を活用すれば研修費の実質負担を大幅に削減できます(後述)。
2年目以降のランニングコスト
内製化が軌道に乗ると、継続費用は以下の程度に落ち着きます。
| 費用項目 | 月額目安 |
|---|---|
| 担当社員人件費(配信時間分の按分) | 5〜15万円 |
| 配信プラットフォーム利用料 | 1〜3万円 |
| 消耗品・追加機材 | 0.5〜2万円 |
| 研修の追加・フォローアップ | 0〜5万円 |
月合計:6.5〜25万円程度。代行と比較すると同じ配信頻度でも月10〜30万円の差が生まれます。
3年間TCO比較:助成金あり/なし
モデルケース設定
- 従業員30名の中堅EC企業
- 月4回配信(週1ペース)を目標
- 内製化研修費:100万円(5名受講)
- 助成金:審査通過した場合、最大75%が助成対象(実際の支給額は審査結果次第)
TCO試算表
| 代行 | 内製化(助成なし) | 内製化(助成あり・最大) | |
|---|---|---|---|
| 研修・初期費用 | 0円 | 100万円 | 25万円(実質負担) |
| 機材・環境整備 | 0円 | 35万円 | 35万円 |
| 1年目ランニング | 360万円 | 50万円(立ち上がり込み) | 50万円 |
| 1年目合計 | 360万円 | 185万円 | 110万円 |
| 2年目合計 | 360万円 | 100万円 | 100万円 |
| 3年目合計 | 360万円 | 100万円 | 100万円 |
| 3年間総計 | 1,080万円 | 385万円 | 310万円 |
※助成金は審査制であり、採択・支給を保証するものではありません。実際の支給額は審査結果によって変わります。「最大75%」は上限であり、実質負担額はコース種別・受講形態・申請内容によって異なります。
このモデルでは、3年間で代行比 695〜770万円のコスト差が生まれます。助成金が通った場合、損益分岐点は1年目の後半に到達する計算です。
助成金で内製化コストを圧縮する:事業展開等リスキリング支援コース
制度の基本
ライブコマース内製化研修に使える主な助成金は「事業展開等リスキリング支援コース」(人材開発支援助成金の一コース)です。
- 対象経費:外部講師による集合研修・OJT・オンライン対面研修の受講料
- 助成率:中小企業最大75%、大企業最大60%(経費助成)
- 賃金助成:訓練中の賃金の一部も支給対象(対面・OJT型のみ)
詳細はライブコマース研修に使える助成金完全ガイドをご参照ください。
2026年改正の重要変更点
(1)疎明書の提出が義務化
2026年度改正より、助成金申請時に「疎明書」(受講料の価格根拠を示す資料)の提出が必要になりました。研修会社が市場相場と乖離した受講料を設定していないかを確認するためのものです。
疎明書を準備できない研修会社のプログラムは、申請受理されないリスクがあります。研修会社選びの際は必ず「疎明書の対応可否」を確認してください。
(2)eラーニング型のみは賃金助成の対象外
2026年改正でeラーニング単体の研修は賃金助成が適用されなくなりました。賃金助成も活用したい場合は、対面またはOJT要素を含む研修形態を選ぶ必要があります。
→ 詳細はeラーニング型ライブコマース研修と賃金助成【2026改正】で解説予定です。
(3)計画届の事前提出は従来通り必須
研修開始前に「訓練実施計画届」を労働局に提出する必要があります。研修スタート後の申請は認められません。申請手続きの流れは助成金申請サポートガイドをご確認ください。
「代行が向いている企業」「内製化が向いている企業」
コスト比較だけでは判断できない側面もあります。以下のチェックリストで自社に合う方向を確認してください。
代行が向いているケース
- 今すぐ売上が必要で立ち上がりに時間をかけられない
- 配信頻度が月1〜2回程度で、社員育成コストに見合わない
- 中核商材が高単価かつ代行費用を吸収できる利益構造がある
- 実験的にライブコマースを試したい段階(効果検証フェーズ)
内製化が向いているケース
- 月4回以上の高頻度配信を目指している
- ブランドの世界観を自社で徹底管理したい
- 長期的な競争優位(配信スキル・データ蓄積)を狙っている
- 既存社員の中にライブコマースに向いている人材がいる
- EC事業をコア事業として3年以上継続する意思がある
代行から内製化へ:移行のステップ
「今は代行を使っているが、将来は内製化したい」という企業も多いはずです。スムーズな移行には段階的なアプローチが有効です。
フェーズ1:代行活用期(0〜6ヶ月)
代行会社と契約しつつ、担当社員を「見学・補助」で同席させる。配信の流れ・コメント対応・台本構成を肌で覚える段階。
フェーズ2:研修・育成期(6〜12ヶ月)
外部研修プログラムで体系的なスキルを習得。助成金申請はこのタイミングに合わせる(計画届の事前提出を忘れずに)。
フェーズ3:並走期(12〜18ヶ月)
社員配信と代行配信を並行して実施。データを比較しながら社員配信のチューニングを行う。
フェーズ4:内製化完了期(18ヶ月〜)
代行契約を解消または縮小。社員チームが主体となり定期配信を運営する。
社労士サポートと申請代行コストの考え方
助成金申請は書類作成・計画届・支給申請と工程が多く、不慣れな企業には負担です。社労士に依頼する場合の費用相場は10〜30万円程度が一般的です。
一方、社労士サポートを無料または低コストで提供している研修会社を選べば、この費用を削減できます。CNavi TikTok Shop Campusでは、助成金申請のサポートも含めたプログラムを提供しています。
申請代行の費用対効果については社労士申請代行 相場 vs 無料サポート付き研修(準備中)で詳しく比較します。
よくある質問(FAQ)
Q. 代行会社に依頼中でも助成金は使えますか?
A. 助成金(事業展開等リスキリング支援コース)は自社の社員が研修を受けることへの補助です。代行会社への業務委託費には使えません。内製化研修との組み合わせが前提です。
Q. 助成金の申請は研修後でも間に合いますか?
A. 間に合いません。助成金申請には研修開始前の「訓練実施計画届」提出が必須です。研修後に申請しても受理されないため、研修会社を選ぶ段階から申請スケジュールを組み立てる必要があります。
Q. 内製化後も代行会社を一部使い続けることはできますか?
A. 可能です。たとえば「通常配信は内製、大型セール時だけ代行」というハイブリッド運用を選ぶ企業もあります。内製化コアを持った上での代行活用は、交渉力も上がります。
Q. 中小企業ではなく大企業の場合、助成率はどう変わりますか?
A. 大企業の場合、経費助成率は最大60%となります(中小企業は最大75%)。ただし審査制であり、採択を保証するものではありません。実際の支給額は申請内容と審査結果によって変わります。
Q. eラーニングだけの研修でも助成金は使えますか?
A. 2026年改正以降、eラーニング型のみの研修は賃金助成の対象外となりました。経費助成のみの対象となる場合があります。対面またはOJT要素を含むプログラムと組み合わせることを推奨します。
まとめ:3年後の競争力を数字で選ぶ
ライブコマースの「代行 vs 内製化」は、短期の快適さか長期の競争力かという選択です。
コストだけで見れば、月30万円の代行を3年続けると累計1,080万円。助成金を活用した内製化なら実質310万円程度で済む試算です(審査次第)。差額は約770万円、これが3年後に残る「自社のライブコマース体制とノウハウ」への投資です。
ただし助成金は審査制で、採択保証はありません。申請書類の精度・研修会社の選定・計画届の事前提出がポイントになります。
自社のケースで損益分岐点がどこになるか、まず無料で試算してみませんか。
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