助成金活用
派遣社員のライブコマース研修に助成金は使えるか?派遣先・派遣元それぞれの立場で解説【2026年版】
派遣社員のライブコマース研修に助成金は使えるか?派遣先・派遣元それぞれの立場で解説【2026年版】
POINT|この記事の結論
- 派遣先企業(ユーザー企業)は、派遣社員の研修について事業展開等リスキリング支援コースを直接申請できない。雇用保険上の事業主は派遣元(派遣会社)であり、訓練実施の主体もそちらになるため
- 派遣元(派遣会社)が派遣スタッフを対象に申請する場合は制度利用の可能性がある。ただし派遣元側の計画・申請・疎明書対応が必要
- 派遣先企業が取れる現実的な戦略は「直接雇用社員をライバー研修の対象にする」か「派遣元と協力して派遣会社側の助成申請を促す」の2択
- ただし同制度は審査制・後払い。採択・支給を保証するものではなく、実際の支給額は審査結果による
- 2026年改正で「疎明書(受講料の価格根拠資料)」の提出が義務化。eラーニング型研修のみの場合は賃金助成の対象外となった
- 自社の雇用形態に合わせた最適解は無料個別相談で診断可能。派遣社員比率が高い企業こそ早めに相談を
なぜこの質問が増えているのか
ライブコマース・TikTok Shopの普及で「社内に配信担当者を育てたい」という法人が急増している。同時に、コア業務の人材は正社員、販促・EC業務は派遣スタッフが担うという分業体制を取る企業も多い。
そのためコールセンター・物流・小売・アパレルなどでは「現場で商品に詳しい派遣スタッフに、ライブコマース配信を任せたい」「せっかく助成金が使えるなら、派遣スタッフの研修にも活用したい」という声が人事・ECチームから上がっている。
しかし雇用関係の補助金制度は「雇用契約の主体が誰か」で申請資格が変わるため、派遣という雇用形態は注意が必要だ。
前提:助成金の「申請主体」は誰か
事業展開等リスキリング支援コース(人材開発支援助成金)において、助成金を受け取れるのは訓練実施事業主、すなわち労働者と直接の雇用契約を結んでいる事業主だ。
| 概念 | 内容 |
|---|---|
| 訓練実施事業主 | 訓練を実施し助成金を受け取る主体。労働者と雇用契約がある会社 |
| 訓練対象者 | 雇用保険被保険者として在籍している労働者 |
| 訓練期間中の賃金支払い義務 | 訓練実施事業主が負う |
これが助成金制度の基本構造だ。
派遣の雇用関係を整理する
派遣社員には「三者関係」が存在する。
派遣元(派遣会社)
↑ 雇用契約・雇用保険・給与支払い
派遣社員
↓ 指揮命令・業務遂行
派遣先(ユーザー企業)
- 雇用保険の加入先:派遣元(派遣会社)
- 給与の支払い主:派遣元(派遣会社)
- 業務指示・現場管理:派遣先(ユーザー企業)
つまり派遣社員にとっての「雇用主」は派遣元であり、派遣先はあくまで「業務上の指揮命令権」を持つ立場にすぎない。
派遣先企業は申請できるか?→原則できない
事業展開等リスキリング支援コースの申請主体は「労働者と雇用関係のある事業主」だ。派遣先企業は派遣社員と直接の雇用契約を結んでいないため、原則として派遣社員分の助成金を申請することはできない。
「現場で使い勝手がよく、配信スキルも高い派遣スタッフに研修を受けさせたい。でも助成金の申請は当社ではできない」というのは、多くの派遣先企業が直面するジレンマだ。
注意点:助成金の申請資格をめぐって「派遣先が実施者として申請できる」と誤って案内するケースが見受けられる。制度の誤解は不支給・ペナルティリスクにつながるため、必ず労働局または社会保険労務士に確認すること。
派遣元企業が申請する場合の可能性
一方、**派遣元(派遣会社)**は派遣スタッフの雇用主であるため、自社が派遣スタッフを対象に事業展開等リスキリング支援コースを申請する可能性がある。
ただしこの場合も、以下の条件を確認する必要がある。
確認すべき主な要件
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 訓練計画届の提出 | 研修開始の原則1ヶ月前までに管轄労働局へ提出 |
| 訓練対象者の雇用保険加入 | 派遣スタッフが雇用保険被保険者であること |
| 疎明書の添付(2026年改正) | 受講料の価格根拠となる書類。外部研修の場合は研修会社から取得 |
| OFF-JT要件 | 通常業務と切り離した「訓練時間」として記録・管理 |
| eラーニング型の制限 | eラーニングのみの研修は賃金助成の対象外(2026年改正) |
派遣元が申請する場合のポイントは、研修の実施・管理・記録をすべて派遣元側が主導するという点だ。派遣先に「任せきり」にすると、訓練実施の主体性が問われ不支給リスクが生じる。
派遣先企業が取れる現実的な選択肢
では派遣先企業は何もできないのか?そんなことはない。以下の3つのアプローチが現実的だ。
選択肢①:直接雇用社員でライバーを育てる
最もシンプルかつ確実な方法は、正社員・契約社員など直接雇用の社員を研修対象にすることだ。
- 申請主体として助成金を直接受け取れる
- 研修計画・疎明書・申請手続きをすべて自社で管理できる
- 育成したライバーが自社に定着する(派遣社員は契約終了で離れる)
実際に多くの法人は「ライバー担当」として新たに正社員やパート(雇用保険加入済み)を採用・配属し、そのポジションで助成金研修を受けさせている。これが最も制度的にクリーンな活用方法だ。
選択肢②:派遣元企業に協力を求める
長期間・安定的に稼働している派遣スタッフを活用したい場合、派遣元(派遣会社)に対して研修実施を依頼し、派遣元側に助成金申請を促すというアプローチがある。
具体的には以下の流れになる。
派遣先:「〇〇社のライブコマース研修を受けさせてほしい。費用は折半または全額先方負担で」
↓
派遣元:助成金を活用して費用の大半を回収できるなら、研修投資に応じやすい
↓
派遣先・派遣元で協力体制を構築
派遣元にとっても、スタッフのスキルアップは稼働継続・単価向上につながるため、交渉の余地がある。ただし決定権は派遣元側にあり、必ず応じてもらえるわけではない点は理解しておきたい。
選択肢③:派遣から直接雇用に転換する
配信担当として長期育成したい人材がいる場合、直接雇用への転換を提案するのも有力な選択肢だ。
直接雇用転換後、雇用保険の加入期間が一定以上(一般的に6ヶ月以上)になった段階で助成金の申請を検討できる。また、転換そのものを支援する別の助成金制度(キャリアアップ助成金の正社員化コース等)も組み合わせられる可能性がある。
特殊ケース:紹介予定派遣のケース
紹介予定派遣の場合は、直接雇用を前提とした派遣形態だ。派遣期間中は派遣元が雇用主のため依然として「派遣先が直接申請」はできないが、直接雇用が確定した段階(採用確定後)に改めて計画を立てれば、ライブコマース研修を正式な助成金対象として組み込む道が開ける。
採用確定→雇用保険加入→計画届→研修という流れを事前にスケジューリングしておくことが重要だ。
2026年改正が派遣事案に与える影響
2026年度の制度改正では2点の変更が実務に影響する。
①疎明書(受講料の価格根拠資料)の義務化
研修費用の適正性を示す「疎明書」の提出が必須になった。派遣元が外部のライブコマース研修を利用して申請する場合、研修会社に疎明書の発行を依頼する必要がある。
CNavi(シーナビ)のようなライブコマース研修専門機関は疎明書の発行実績があるため、派遣元が申請する際の研修パートナーとして選びやすい。
②eラーニング型のみは賃金助成の対象外
動画視聴のみのeラーニング研修は、2026年改正で賃金助成の対象外となった。ライブコマース研修を選定する際は、実践演習・ロールプレイ・実配信シミュレーションを含む「OFF-JT訓練」として設計されているかを確認することが必須だ。
→ eラーニング型ライブコマース研修は賃金助成対象外【2026改正】
まとめ:派遣社員と助成金の関係を整理
| 立場 | 申請可否 | コメント |
|---|---|---|
| 派遣先企業(ユーザー企業) | ❌ 原則不可 | 雇用契約がないため申請主体になれない |
| 派遣元企業(派遣会社) | ✅ 可能性あり | 雇用保険被保険者である派遣スタッフが対象。計画・申請を派遣元が主導すること |
| 派遣先が直接雇用に切り替えた場合 | ✅ 可能性あり | 直接雇用後、雇用保険加入を経て申請可能 |
よくある質問(FAQ)
Q. 週3日・週24時間の派遣スタッフは助成金対象になるか?
雇用保険の加入要件(週20時間以上・31日以上の雇用見込み)を満たしていれば、派遣元が申請する際の対象になりうる。雇用保険加入状況を派遣元に確認すること。
Q. 派遣先が費用を全額負担し、名義上は派遣元が申請することは可能か?
費用負担の実態と申請主体の整合性については、制度の趣旨上慎重に検討が必要だ。形式的に派遣元名義にするだけでは不支給リスクがある。必ず労働局または社会保険労務士に事前確認を行うこと。
Q. 派遣社員が研修を受けた後、契約終了になったらどうなるか?
助成金の申請・受給は通常、研修終了後の支給申請で完結する。派遣契約が研修後に終了した場合でも、支給済みの助成金の返還は通常発生しない(不正受給がない限り)。ただし訓練計画期間中に雇用が終了した場合は対象外となる可能性があるため、研修期間と派遣契約期間の整合を確認すること。
Q. 紹介予定派遣で採用確定後、すぐに助成金申請できるか?
直接雇用開始後に雇用保険加入手続きを行い、その後に計画届を提出するのが原則だ。研修開始の1ヶ月前までに計画届を提出する必要があるため、採用タイミングから逆算した計画が重要。
派遣社員の活用と助成金、どちらを優先すべきか
ライブコマース内製化を考える企業の多くが直面する判断は「派遣スタッフに任せ続けるか、直接雇用して育てるか」だ。
短期的なコストだけで見ると派遣活用が有利に見えることもあるが、ライバーは企業のブランドや商品知識の蓄積が重要であり、契約終了のたびに一からトレーニングし直すコストは積み上がる。中長期で見れば、直接雇用の社員を助成金を活用して育成し、ノウハウを社内に蓄積する戦略が多くの企業で合理的な選択となっている。
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「自社の雇用形態では助成金を活用できるか」「派遣から直接雇用に転換する場合の最適タイミングは」「どの研修を選べば審査が通りやすいか」といった疑問は、個社の状況によって答えが変わる。
CNaviでは人材開発支援助成金を活用したライブコマース研修を専門とし、雇用形態・業種・研修内容にあわせた申請戦略の無料相談を提供している。社会保険労務士との連携体制も整えており、派遣比率が高い企業でも「直接雇用社員に絞って今期中に動く」「派遣元と協力して動く」「まず採用計画から始める」など、現実的な選択肢を提示できる。
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