助成金活用
ライブコマース研修「賃金助成」の計算方法と事例シミュレーション【2026年度版・ミス防止ガイド】
ライブコマース研修「賃金助成」の計算方法と事例シミュレーション【2026年度版・ミス防止ガイド】
POINT|この記事の結論
- 賃金助成の計算式は**「受講者数 × 受講時間数 × 単価(中小960円・大企業480円)」**が基本。ただし対象時間の算定にミスが多い
- eラーニング単体の受講時間は賃金助成の計算に含められない(2026年改正)。対面・OJT時間のみが対象
- 時間外・休日に実施した研修時間も賃金助成の対象になり得るが、割増賃金の支払いが前提条件
- 計算上の「最大値」と実際の支給額は異なる。助成金は審査制・後払いであり採択保証ではない
- 疎明書(受講料の価格根拠)が審査で必要。計算以前に研修会社の対応可否を先に確認する
賃金助成とは——経費助成との違いから整理する
ライブコマース研修に使える「事業展開等リスキリング支援コース」には、2種類の助成が存在します。
経費助成は研修費用(受講料・教材費など)に対して支給される助成で、中小企業なら最大75%、大企業なら最大60%が対象です。
賃金助成は、研修を受けている時間中に従業員に支払った賃金の一部を補填する助成です。「業務を止めて研修に出席させている」コストを補助する制度設計になっています。
この2つは別々に計算・申請するもので、合算して受け取れる点が特徴です。多くの法人担当者が「助成金=受講料が安くなる」とだけ認識していますが、賃金助成を加えると実質の会社負担はさらに下がります。
賃金助成を正しく計算できていない、あるいは存在を知らずに損をしているケースは珍しくありません。
賃金助成の基本計算式
計算式
賃金助成額(概算)= 受講者数 × 対象受講時間数 × 賃金助成単価
賃金助成単価(2026年度)
| 企業規模 | 1人1時間あたり |
|---|---|
| 中小企業 | 960円 |
| 大企業 | 480円 |
ここで注意が必要なのは**「対象受講時間数」**の定義です。受講した総時間数をそのまま使うのではなく、助成対象となる時間形式に限定する必要があります。
対象になる研修形式(2026年改正後)
| 形式 | 賃金助成対象 |
|---|---|
| 対面集合研修(会場・オンラインライブ含む) | ○ |
| OJT(実地訓練・振り返り含む) | ○ |
| eラーニング単体 | ×(2026年改正で対象外) |
eラーニングのみで構成された時間は、賃金助成の計算式に組み込めません。 対面またはOJTと組み合わせたハイブリッド設計にして初めて、その対面・OJT部分の時間が計算対象になります。
詳しくはeラーニング型ライブコマース研修は賃金助成の対象外【2026年改正】で解説しています。
シミュレーション:3パターンで計算する
ケース1:中小企業・5名・対面40時間
ECサイトも運営するアパレル中小企業が、社内スタッフ5名にライブコマース研修を受講させるケース。対面集合研修40時間のカリキュラム。
賃金助成額の計算
5名 × 40時間 × 960円 = 192,000円
経費助成の試算(別途)
受講料が1名あたり15万円(計75万円)とすると:
750,000円 × 75% = 562,500円(最大)
合計の概算助成額
562,500円(経費)+ 192,000円(賃金)= 約754,500円
実質自己負担は75万円のうち約75,000円相当まで圧縮できる計算です(審査制のため確約ではない)。
ケース2:大企業・10名・対面20時間
TikTok Shop参入を検討する大手食品メーカーが、マーケティング担当10名を研修。対面カリキュラム20時間。
賃金助成額の計算
10名 × 20時間 × 480円 = 96,000円
経費助成の試算
受講料が1名あたり10万円(計100万円)とすると:
1,000,000円 × 60% = 600,000円(最大)
合計の概算
600,000円(経費)+ 96,000円(賃金)= 約696,000円
大企業は賃金助成単価が中小の半額ですが、受講者数・受講時間が多いと積み上がります。
ケース3:中小企業・ハイブリッド設計(eラーニング+対面)
小売業の中小企業が、3名の担当者にeラーニング20時間+対面研修16時間のハイブリッド研修を実施するケース。
賃金助成額の計算(対面分のみ)
3名 × 16時間(対面のみ) × 960円 = 46,080円
eラーニング20時間は賃金助成の計算に入らない点が重要です。
誤った計算(よくあるミス)
3名 × 36時間(総時間) × 960円 = 103,680円 ← 過大計上
この差額は申請後の審査で指摘・修正されます。最悪の場合、不正申請とみなされるリスクがあります。
よくある計算ミスと対策
ミス1:eラーニング時間を賃金助成に含める
前述のとおり、2026年改正によりeラーニング単体の時間は対象外です。ハイブリッド型の場合は対面・OJT時間のみをカウントしてください。
ミス2:研修時間を「受講した時間」でなく「コース時間」で申請する
訓練計画書に記載したコースの設計時間と、実際に受講者が出席した時間数が異なる場合、実出席時間での計算が必要です。出席簿・タイムカードと照合した実績時間で計算してください。
ミス3:時間外・休日研修の賃金処理を忘れる
所定労働時間外や休日に研修を実施した場合、割増賃金(時間外25%以上・休日35%以上)の支払いが義務です。割増賃金を払わずに研修を実施した場合、その時間は助成対象外になる可能性があります。また労働基準法違反にもなります。
賃金助成は「支払った賃金に対する補填」なので、賃金を適切に支払うことが先決です。支払いなき訓練時間は計算対象になりません。
ミス4:企業規模の判定を誤る
「中小企業」の判定は業種によって従業員数・資本金の基準が異なります。製造業なら従業員300人以下または資本金3億円以下、サービス業なら100人以下または資本金5,000万円以下など、業種別に確認が必要です。
グループ会社の場合は親会社含む連結での判定が必要なケースもあります。詳しくはグループ会社でのライブコマース研修助成金の適用範囲を参照してください。
ミス5:複数コースを同一計画届に混在させて計算する
複数のライブコマース研修コースを並行して申請する場合、コースごとに受講者・時間数を分けて計算し、それぞれ計画届を提出します。一括で計算すると申請書類との突合でエラーが生じやすくなります。複数名を複数コースで受講させる場合の最適化については複数名一括受講での助成上限最適化も参考にしてください。
上限額の考え方
賃金助成には、1訓練コース・1年度あたりの上限が設けられています。上限は訓練計画の内容・企業規模・訓練形態によって異なるため、正確な数値は所轄の都道府県労働局またはハローワークへの事前相談で確認することを推奨します。
一般的な実務では、計算した概算額が上限に当たるかどうかを、労務担当者または社労士と事前に試算した上で申請計画を立てることが多いです。CNavi TikTok Shop Campusでは、提携社労士とともに申請前のシミュレーション対応を行っています。
疎明書と計算の関係
2026年改正では、受講料の価格根拠を示す「疎明書」の提出が義務化されました。これは経費助成に関わる書類ですが、賃金助成の計算とも間接的に関係します。
理由は単純です。経費助成の申請に使う受講料総額が「適正価格」と認められないと、経費助成の計算基礎自体が否定され、審査が通らなくなります。結果として賃金助成だけが支給されるという中途半端な事態が生じる場合もあります。
賃金助成・経費助成を両方最大化するには、研修会社が疎明書を適切に整備していることが前提条件です。研修選びの段階でこの確認を怠らないようにしてください。
疎明書の詳細については疎明書(受講料の価格根拠)とライブコマース研修【2026年改正対応】で解説しています。
賃金助成の計算を助成金全体の設計に組み込む
賃金助成の計算は、申請前の準備段階で必ず行うべきシミュレーションです。「計算してみたら思ったより賃金助成が少なかった」という事態は、研修形式の選択段階から防げます。
ライブコマース研修の助成金設計全体(計画届の提出タイミング・研修会社の選定・疎明書対応・複数名申請の最適化)については、ライブコマース研修で使える助成金の完全ガイド|法人向け2026年版で体系的に解説しています。
FAQ
Q. パートタイマーの研修時間も賃金助成の計算に含められますか?
週所定労働時間など一定の雇用要件を満たすパートタイマーは対象になり得ます。ただし雇用形態・労働時間の条件があるため、個別に労働局への確認が必要です。詳細はパートタイマー・アルバイトのライブコマース研修助成金の対象要件を参照してください。
Q. 受講中に帰宅してしまった場合、その日の時間数はどう処理しますか?
実際に受講した時間分のみが助成対象です。出席簿と指導記録で実出席時間を記録し、その時間数で計算してください。欠席時間を含めて申請すると、審査での不備扱いになります。
Q. 研修費用の一部を受講者本人に負担させている場合、賃金助成に影響はありますか?
賃金助成は企業が従業員に支払う賃金に対する補填なので、受講料の個人負担分との直接の連動はありません。ただし、個人から研修費を徴収するスキームは労使協定や規程の整備が必要であり、審査上の問題になる可能性があります。設計段階で社労士に確認することを推奨します。
Q. 2026年度中に途中で研修を中断した場合、賃金助成はどうなりますか?
実際に完了した訓練時間分が対象となります。カリキュラム上の予定時間数ではなく、実施・出席が確認できた時間が計算基礎になります。また中断の理由(会社都合・本人都合)によっては不支給となるケースもあります。
Q. 助成金の計算結果を社内稟議に使えますか?
試算値として稟議に活用することは一般的です。ただし「確定額」としての記載は避け、「採択は審査制であり支給を保証するものではない」旨を明記することを推奨します。
まとめ:計算より前に確認すべきこと
賃金助成の計算自体はシンプルです。しかし正しい計算をするには、研修形式(対面かeラーニングか)の事前確認、訓練時間の実績記録、適切な賃金支払いという3つの前提が揃っている必要があります。
計算が合っていても審査で落ちるケースの多くは、研修の実態記録不備・疎明書の未整備・申請タイミングのズレに起因します。数字だけでなく、申請の全体設計を最初から整えておくことが重要です。
CNavi TikTok Shop Campusでは、賃金助成・経費助成の両方を含めた助成金シミュレーションを無料相談内で実施しています。「うちの場合いくらになるか試算してほしい」というご要望も、個別相談の中でお応えしています。
※ 助成金の採択は審査制であり、支給を保証するものではありません。実際の支給額は審査結果・企業の状況・訓練計画の内容によって異なります。記載の単価・助成率は2026年度の情報を基にしていますが、制度改正により変更になる場合があります。最新情報は厚生労働省または所轄の都道府県労働局にご確認ください。
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